農業の後継者不足は深刻な問題として取り上げられたりしますが、そもそもなぜ後継者不足がおきるのでしょうか?
また、農業で一番儲かるのは何か?についてや、小規模な農業は儲かるのか?についても調べてみました。
この記事を読んで、農業のことを知っていただければと思います。
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目次
なぜ農業は後継者不足なの?
農家が抱える後継者不足問題の原因はいくつかあります。
以下の4つをそれぞれ解説していきます。
地方の高齢化と若者の減少
日本の農家さんは6割以上が65歳以上だといわれています。
平均年齢は68.5歳で、年々上がる一方です。
さらに若者が都会へと流れていってしまうため、地方で就職する人が減っている状況です。
後継者探しに手がまわらない
事業の維持や拡大をするためには取り組まなければならないことがたくさんあります。
生産物の宣伝や設備投資・社内整備など、先にやらなければならないことがあり、後継者探しはどうしても後回しになりがちです。
従業員を増やそうにもそこまでの費用がなかなか出せませんし、一人前になるまでには数年かかります。
そういったことが原因で、後継者を探すことが先延ばしになっています。
少子化による跡継ぎ不足
昔の家庭では兄弟姉妹が何人もいたため、1世帯の家族が10人以上いるというのも珍しくない時代でした。
子供がたくさんいて家業を継ぐことが当たり前だったので、後継者問題なんて言葉はなかったと思います。
現在では婚姻率の低下や出生率の低下により少子化が進み、子供を跡継ぎにする考え自体が崩壊し始めているのも原因の一つとなっています。
肉体的リスクが大きい
農業は肉体的に辛いことが多々あります。
例えば、休みがない、天候次第で業務内容が日々変わる、肉体労働が多いなどがあげられます。
また、野菜農家さんでは「農薬」を使います。
様々な対策はされてはいるものの、農薬を日常的に扱うので健康被害が懸念されています。
農家は儲かるのになぜやらないのか?
そもそも農家さんは儲かるのでしょうか?
農家さんの年収は、300~600万円ほどあるといわれていて、平均で450万円ほどです。
日本の平均年収が400~500万円くらいといわれているので、儲かっているとはいいがたいですね。
また、農家さんの年収にすごく差があります。
これは農家さんが植物や動物を扱う仕事であり、天候や環境に左右されるからです。
天候がよく適度に雨が降れば豊作ですが、台風や病気で畑が全滅したり、家畜が病気になったりと何が起こるかわかりません。
機械設備を使っていますが、人間がコントロールできない部分が多いため、どうしても安定した収入が得られないのが現実です。
農家が儲からないは嘘!?農業は何が一番儲かる?
一番儲かるといわれているのは「施設野菜農家」です。
施設野菜農家とは、ビニールハウスなどの施設内で野菜を栽培している農家さんのこといいます。
施設野菜は、施設を建築するコストがかかりますがその分様々なメリットがあります。
・天候の影響を受けにくい。
・温度管理ができるため、年中いろいろな野菜が栽培できる。
・害虫対策や野菜の状態を把握しやすい。
旬の時期をずらして販売したり、収穫量を管理して価格を安定させることができるので、最も注目されている農業です。
農業の人手不足の解決策ってある?
経営者が後継者を探すための時間を設けるには、従業員を増やして経営者の負担を軽減させなければなりません。
しかし、その従業員さえも不足しているのです。
人手不足を解消するための解決策を3つにまとめました。
職場環境や労働条件の見直し
農家の就業規則と労働契約に関して、厚生労働省と農林水産省で手引書を発行しています。
簡単に解説すると次の通りです。
・勤務時間や給与規定を明確にし、法律に従って社会保険や有給休暇を適用すること。
・生活習慣にあった労働環境が提供できるように、働き方改革に取り組むこと。
・トイレなどの衛生管理、高温期や寒冷期の対策など職場環境を整えること。
農業でも一般企業のように職場環境を整えて、安定した労働を構築していく必要があります。
外国人技能実習生の受け入れ
現在の日本では、生産工場や整備工場などで外国人技能実習生を採用しています。
農業分野でも技能実習生を採用し始め、2019年度外国人労働者数は35,513人、その大半が技能実習生です。
外国人技能実習生に対しても、日本人と同じ適切な就労環境を整えていく必要があります。
IT化によるスマート農業
ITによる新しい取り組みが始まっています。
スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術を導入し、農作業を簡略化することで新規就農者や栽培技術の継承などをスムーズに行う目的で考えられた農業です。
職場環境の改善、外国人技能実習生の受け入れ、IT技術の導入により、農業が安定した職業になれば人材不足の解決へと繋がるのではないでしょうか。
小規模の農業は儲かるの?
一般農業では、稼ぐためには規模を拡大する必要があるとされてきました。
しかし近年、上記の考え方が変わりはじめ、次の3つを意識して取り組めば小規模農家でも稼ぐことができるとされています。
労働生産性の効率化をはかる
従来の労働時間や労働量を見直し、役割分担や業務内容を改善することにより無駄な労働を減らします。
生産コストをデータ化
顧客や市場価格などをデータ化・分析していくことで、低コストで生産できる農産物を販売していきます。
取引先の新規開拓
販売先と複数取引することで、場所によって生産物の売れ筋が違うこともあります。
売れなかったものが別の販売先で需要ができることもあるからです。
アスパラガスを栽培している農家は儲かるっていうのは本当?
アスパラを栽培している農家さんは、売上1000~2000万円、所得600万ほどといわれています。
サラリーマンの平均年収が400~500万円台と考えると、アスパラ農家さんの年収670万円は儲かっていると考えられます。
アスパラガスは、東京都中央卸売市場の令和3年12月~令和4年12月の取扱平均価格をみても高めの水準を表しています。
アスパラ栽培のメリット
・養分を含んだ土であれば、肥料を与えなくてもよく育つ。
・他の植物に比べて病害も少ない。
・一度植えると種まき不要で10年以上収穫が可能。
・冬の作業がない。
アスパラ栽培のデメリット
・アスパラを栽培してから最初の収穫まで2年はかかる。
にんにくは儲かる野菜?
にんにくは本当に儲かるのか?
実際ににんにくを栽培している方の体験談をご紹介します。
60㎡の菜園で栽培を始め、だいたい2000個のにんにくを収穫することができました。
にんにくは1個100円で販売します。全て売れたとして20万円です。
次に黒にんにくに加工して1個300円で販売します。全て売れたとして60万円です。
そして、にんにくの芽を10本セット100円で売れたとして2万となります。
これで考えると、年収は約22~62万円となります。
年収でこの金額です。
この金額から栽培にかかった設備や土地代、ガソリン代などなど諸経費を減らすとどのくらい残るのでしょう。
この数字は、あくまでニンニク栽培を始めて一年目のものです。
試行錯誤しないと、にんにく栽培だけでは生活できないということがわかります。
農業のやりがいや魅力って何?
農家さんにとって一番のやりがいといえば、自らの手で一から農作物を育てられることです。
まるで子供を育てるように長い時間をかけて、畑を耕し、種を植え、水やりや肥料やり、草むしりや害虫駆除、様々な工程を積み重ねていき収穫するのです。
苦労して育て上げ、旅立たせるという思いなのでしょうね。
また、農業の魅力は消費者から評価してもらい、喜んでもらえることです。
苦労して育て上げた収穫物をおいしく食べてもらえることがなによりの楽しみかもしれません。
最近では直売所なども増えてきて、消費者と直接会話できる機会も増えていますので、笑顔の交流もまた魅力の一つといえるでしょう。
農業の後継者不足はなぜおきるのか?のまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のテーマは「農業の後継者不足はなぜおきるのか?」でした。
原因は、高齢化や少子化、人材不足により経営者の多忙、就労環境の過酷さでした。
また、天候や環境に左右される作業なので収入も不安定になってしまうという理由もありました。
問題は山積みですが、一般企業のような取り組みをしていけば働きやすい環境が作られていくと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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