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東海道新幹線がバラスト軌道なのはなぜ?線路の石が茶色い理由と石はどこからもってくるのか?

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そもそも軌道には、道床の構造によりいくつか種類があります。

その中で東海道新幹線はなぜ『バラスト軌道』を採用しているのでしょうか?

また、線路の石がなぜ茶色なのか、その石はどこから運ばれてくるのか、今回はこの疑問も含め、解説していきたいと思います。

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東海道新幹線がバラスト軌道なのはなぜ?

バラスト軌道を走る新幹線

東海道新幹線は1964年に建設され、その当時はまだ『バラスト軌道』が主流だったためです。

東海道新幹線は世界初の高速鉄道で、新しい技術である『スラブ軌道』はまだ確立されていなかったため、従来の『バラスト軌道』が採用されました。

1964年に開催されるオリンピックに間に合わせるため『バラスト軌道』にするしかなかったようです。

現在『バラスト軌道』を使っているのは、東海道新幹線全線と九州新幹線の一部。

当時、山陽新幹線が1972年に新大阪から岡山間を『バラスト軌道』で採用後、各地で行った試験敷設を経て、1975年に岡山から博多間が『スラブ軌道』で採用されました。

では、『バラスト軌道』と『スラブ軌道』、なにが違うのでしょうか?

バラスト軌道とスラブ軌道のメリット・デメリットは?

バラスト軌道

バラスト軌道

路盤に砕石(バラスト)を敷き詰めて、枕木でレールを支える構造の道床である。

メリット

・振動や騒音も小さく乗り心地が良い

・低コスト、すぐ直せる

デメリット

・メンテナンスが大変

・自然災害で壊れやすい

スラブ軌道

スラブ軌道

路盤をコンクリートで固め、その上に軌道スラブというコンクリート板を設置した道床。

コンクリート道床の上に緩衝材を介して載せて、その上にレールを固定する。

メリット

・メンテナンスが楽

・自然災害で壊れにくい

デメリット

・初期コストが高く、作るのが大変

・一度壊れると復旧に時間がかかる

・騒音が大きめ

バラスト軌道は安くてそれなりの性能はあるものの、維持するためのメンテナンスに費用がかかってしまうということですね。

そんなに費用がかかるのなら、なぜ東海道新幹線は『スラブ軌道』に変えなかったのでしょう?

東海道新幹線をスラブ軌道化することはできる?

スラブ軌道にすることは、現状難しいとされています。

「バラスト軌道」から「スラブ軌道」へ再構築するためには、バラスト道床を全て撤去してスラブ軌道の道床を一から作り、レールを締結しなければなりません。

最終列車終了後から始発の午前6時までしか時間がないため、作業するとなると大規模な運休が必要となります。

東海道新幹線が「バラスト軌道が原因で高速化できないんじゃないか」とか、「もっと高速化してくれ」との意見があるようですが、実際のところ最高速度を上げて時間を短縮する措置もしているので、軌道の種類に関係なく高速運転は可能だそうです。

騒音の問題もありますし、作り直す手間と費用、新幹線を運休した分の損失を考えたら今のままで良いのではと思ってしまいますね。

それでは軌道のことがわかってきたので、『バラスト軌道』の要とも言えるバラストについて見てみましょう。

石のバラストが線路のまわりに敷かれるのはなぜ?なんのため?


バラストの役割は次の通りです。

  • 電車の重さを支え、固定されているレールや枕木が動かないようにしている
  • 水はけをよくして、レールの劣化防止や枕木の腐食を起こしにくくしている
  • 新幹線が線路を通過した時の衝撃を緩和している
  • 騒音を吸収している

新幹線の線路の石が黒くコーティングされているのはなぜ?

黒くコーティングされているのは『道床安定剤』によるものです。

東海道新幹線が270kmで走行を始めた時に、列車風でバラストが飛散し車体を傷つける事故が発生しました。

そのため、飛散を防ぐネットをかけたり、『道床安定剤』を散布して表面を固めています。

線路の石が茶色い理由とは?

バラストは最初「灰色」をしており、車輪やレールの摩耗した粉が付着し錆びることにより「赤茶色」に変色します。

さらに土埃を浴びることによって「茶色」に変色します。

地下鉄の線路に石がない理由とは?

スラブ軌道

次のような理由があげられます。

・コンクリートで道床ができあがっており、枕木が固定できるためバラストが必要ない

・トンネル内が狭いため、バラスト交換するには不向き

・トンネル内部がコンクリートに覆われているため、振動を軽減する必要がない

現在のトンネルは、天井、側壁、道床を一体化構造にし、路盤が列車の荷重や振動で変形することがないよう設計されています。

そのため『バラスト軌道』や『スラブ軌道』を採用せず、『直結軌道』という構造が採用されました。

直結軌道とは?

バラストの代わりにコンクリートを使った道床のことで、コンクリート短枕木を直接固定し、その上からレールを固定します。

保守作業は低減されますが、騒音・振動が大きく軌道の細かな調整が難しいです。

コンクリート道床軌道とも呼ばれます。

線路の石はどこからもってくるの?

似たような形の石を採取しているわけではありません。

バラストを供給している石材メーカーによって加工されているものを使っています。

ブランドのようなものはなく、重い石を運ぶには輸送経費がかかるため近くの石材メーカーから購入するのが一般的です。

山の岩盤から砕石しているので、いつかバラストはなくなると思われがちですが、現在でも十分な埋蔵量があり、尚且つバラストは意外と長持ちするため最長30年は使えるとのこと。

新しい道床も設計され、『バラスト軌道』と比較すると使用量も減ってきているようです。

バラストの大きさはどのくらい?

石材メーカーによって加工されているバラストですが、大きさはだいたい20mm~60mmです。

先程お話したようにブランドはありませんが、安山岩・玄武岩・砂岩・花崗岩など安く手に入りやすく、硬くて割れにくい石材が重宝されます。

また、種類だけではなく「形」も重要であり、平たい石、細長い石は耐久性が低い。

角の丸い石はバラスト同士が嚙み合わず、列車の重量や通過した時の衝撃でずれやすいという理由があります。

バラストと砕石の違いって何?

バラストとは、線路の道床を作るうえで枕木の位置を固定したり、軌道のゆがみを防止する役割を担っています。

新幹線が線路を通過した時の衝撃を緩和したり、騒音を吸収する役割もあるため、一般的な砕石ではなく形や強度が重要になります。

砕石とは、山などにある岩盤を人工的に小さく砕き、土木や建築用に加工した石材のこと。

道路や駐車場など様々な分野に使用されていますが、線路の道床として使うのであれば硬くて割れにくい素材のバラストを使用します。

東海道新幹線がバラスト軌道なのはなぜ?のまとめ

東海道新幹線は建設当時『スラブ軌道』が確立しておらず、そのために『バラスト軌道』が採用されたという理由でした。

オリンピックに間に合わせるためとはいえ、新しく構築した『スラブ軌道』を採用できなかったのは少し勿体ない気もしますが、大きなプロジェクトというのはすぐ変更できるものではないので仕方なかったのかもしれません。

バラストは元々灰色でした。

茶色く見えていたのは金属の摩耗した粉が錆びたことが原因です。新しいバラストに交換する機会は滅多に見ることができないので、見れる機会があればラッキーですね。

素材にもこだわりがあり、適した「形」や「強度」がないとバラストとして役割を果たせないため、石材メーカーから買っています。

砕石でもなんでもいいというわけではなかったようです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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